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音楽を愛するみなさまへ

 お客様に使っていただくピアノについて、もっと私自身が知らなければならない――。
 楽器販売店に勤務する営業マンだった私は、社会人としてスタートを切った20代の頃にそう感じて、ピアノ調律のための専門学校に入り直しました。23歳の時です。
 ヨーロッパで誕生したピアノは約300年にわたり、人々の心を豊かにしてきました。ピアノが生み出す澄んだ音色を、人間の指が旋律に変え、人々の心を動かしてきました。ピアノは、精緻な木工芸と金属加工を融合させた総合芸術であり、ピアノを理解したいと思う私にとっても、知れば知るほど奥が深いものでした。
 さまざまなピアノ技術者との出会いにも恵まれ、私はピアノの世界にどんどん魅了されていきました。そして33歳の時、生まれ育った浦和市(現・さいたま市)に自修浦和音楽館を創業しました。1991年のことです。自修という表現には、「自らの技術を修め、創造する」という意味を込めました。
 ピアノは本来、それぞれの個性や特性を持っており、弾く人によって実にさまざまな表情を見せます。そしてピアノの演奏者は、自分が理想とする演奏ができるピアノを探し続けています。当社はお客様の希望するピアノ販売を目指したい。そう考えて、今日まで技術者として精進を重ね、お客様の声に誠実に答えられるよう努めてまいりました。

マキシマスの誕生、そして進化

 ピアノの技術が上達すると、アップライトピアノの性能では物足りなくなる時がやがて訪れます。例えば同音の連打性や、繊細な表現をするためのタッチ感などにおいて、アップライトピアノはグランドピアノに及びません。しかし、もっと音楽を追究したい、ピアノが上手になりたいと願っても、誰もがグランドピアノを手に入れられるわけではありません。
 そこで私たちは、アップライトピアノの性能を高め、グランドピアノに近づける研究を始めました。のちに、特許技術(アップライトピアノのアクション機構)を取得することになる、マキシマスの誕生として結実しました。
 マキシマスは、グランドピアノと同等かそれ以上の同音連打性やダイナミックレンジを実現しました。これら性能と並ぶ大きな特徴は、アップライトピアノに後付けできる機能拡張システムであるという点です。アップライトピアノの性能に限界を感じているものの、「グランドピアノの価格に手が出ない」「グランドピアノを置くスペースがない」といった悩みをお持ちの方に喜ばれています。

 しかし、歳月の流れとともに、ピアノをめぐる環境も大きく変わっています。
 ある時、東京で開催された楽器フェアに行った時の衝撃は、今でも忘れられません。アコースティックピアノが展示されているブースは閑散としていたのに、シンセサイザーや電子ピアノの周囲には人だかりができていました。
 アコースティックピアノの生の音の方が断然良いと感じていた私には衝撃的でしたが、一方で、電子ピアノは住環境の変化や消音など、市場の変化にきちんと対応していることがよくわかりました。アコースティックピアノも、時代の流れやそれに伴うお客様を取り巻く環境の変化に対応しなければならない。私はこの時に強くそう感じました。
 ここからさらに研究を進め、アコースティックピアノにデジタル機能を融合させたマキシマス ヴァリアスシステムを開発しました。マキシマスのサイレントピアノ版として住環境の変化に適応するとともに、アコースティックの味わいを妥協せずにデジタルピアノとの同時演奏が可能となり、音楽表現の幅を広げられるようになりました。

 マキシマスの開発は、私が夢みていた過去、現在、未来へとつながるピアノを作りたいという夢の実現でもありました。あなたが大切に使ってきたアップライトピアノを、これからも末長くお使いいただけるからです。
 ピアノを愛する人々、弾く人々、作る人々、直す人々――ピアノを取りまく人たちとの心の触れ合いを大切にした仕事をこれまでも目指してきましたし、これからも当社スタッフと共に追求し続けたいと思っています。そして、音楽を愛するみなさまに、もっとピアノのことを知っていただき、音楽と共に心豊かな生活を送っていただけるような仕事を目指していきます。

有限会社自修浦和音楽館
代表取締役 八木橋正夫

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